#ここアジャに沢山の勇気と感謝をもらった話。~"ここはウォーターフォール市、アジャイル町"を読んでの感想~

年明けから、数少ない通勤時間で少しずつ読み進めていた ここアジャ を読み終えたので、感想を書きます。

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本の概要

本書は、物語形式のページと、その物語で出てきた概念や手法の具体的な説明のページが章ごとにあります。 とある企業の情シス部門の運用チームが主役で、「無力感が蔓延しているチーム」から「自己組織化されたチーム」にセイチョウしていく物語を通じて、アジャイルな組織の作り方を学ぶことができます。

開発スタイルとしてウォーターフォール型を採用しているチームがアジャイルの手法を実践することでどうセイチョウできるのか、にフォーカスを当てており、ウォーターフォールからスクラムへの移行はテーマではありません。

著者である沢渡あまねさんの「チームを改善しようとした結果、アジャイルな手法を取り入れていた」という体験を、まさに追体験できる物語だなと思いました。

具体的な内容としては、タスク管理手法としてのチケット管理や、ふりかえりのススメ、ホワイトボードやオープンスペースを取り入れてみることや、顧客価値創造のためのワンチーム、などなど……。 単なる手法の紹介だけでなく、手法を取り入れる際の上司やチームメンバーとのコミュニケーションの取り方も交えて解説されているため、「これなら自分のチームでも小さく試していけそう」という実感を持ちながら読み進めることができました。

Be Agileに向けて確信と勇気をくれる一冊

私が所属しているチームでもウォーターフォールが採用されていますが、本書で紹介されているチケット管理やslack、KPTやFun Done Learnなどの振り返り手法は既に実践していました。 そのため、「アジャイルな手法とは何か」というより「アジャイルな手法の何が嬉しいのか」を知りたくて本書を手に取りました。

読んでみてまず、「今いる環境はめちゃくちゃありがたいんだな」と思いました。 プラクティスの導入前後の物語や、具体的なノウハウについての解説を読み進めていくと「確かにこの手法を通じてこういうメリットを享受しているな」と思う部分が沢山あり、 章を追ってどんどん良くなっていく運用チームの様子を見て、 「こういう過程を経て良くなっていった結果今のチームがあって、そんなチームで働かせて貰えているんだ」 と、運用チームへの思い入れが強くなっていくごとに、自分の環境のありがたさ、チームの先輩方の偉大さを強く実感しました。

また、チームのセイチョウ過程を追うことで、Be Agileとはどういうことなのかを具体的に知ることができました。 8章以降ずっと胸熱展開が続くのですが、特に印象的だったのは、エピローグの相良 真希乃の下記の一節でした。

「大切なのは、自分たちの問題や課題を言語化すること、周りの仲間たちと問題意識の景色を合わせること、そしてそれを仕組みや仕掛けで解決することなのだ。その解決方法は、ウォーターフォールの世界のやり方だろうが、アジャイルの世界のやり方だろうが、どちらでもいい。

まさにこの姿勢こそがBe Agileの体現だなと感じました。どんな手法を実践しているかでプロダクトの価値が決まる訳ではなく、"本当に価値のあること・あるべき姿"のために行動を起こすことが重要で、アジャイルの手法はその助けとなる。 この相良 真希乃の言葉は、一つの羅針盤として、今の自分を奮い立たせてくれると共に、今後歩みを進めていくうえで迷い悩むことがあっても勇気づけてくれると確信しました。


「今所属しているチームの開発プロセスが、どんな意図で出来上がったのか」を知りたくて本書を手に取りましたが、本当に出会えて良かったと思える一冊でした。 自分もチームのメンバーとして良い文化を作っていけるように、また明日から頑張ります。

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